公式戦29連勝の新記録を樹立した将棋の最年少プロ、藤井聡太四段(15)が24日、大阪市の関西将棋会館で指された棋王戦挑戦者決定トーナメント2回戦でトップ棋士の1人、豊島将之八段(27)に敗れ、公式戦4敗目(37勝)を喫した。史上初の快挙となる中学生でのタイトル獲得の可能性が事実上、消滅した。

 豊島は名人戦順位戦の最上位A級に在籍。藤井にとっては公式戦で初のA級棋士との対戦だった。午前10時から始まった対局は同一局面を4回繰り返す「千日手」となり、午後からの指し直し局がスタート。中盤まで一進一退の攻防が続いたが、藤井の持ち前の終盤力は封印された。

 終局後、藤井は「実力の差と言うか、A級の壁の高さを感じました」と振り返った。豊島は「中盤の仕掛けの後はイヤだなと思う手を続けられた。やっぱり強いなと感じた」と話した。

 将棋の8大タイトルで、藤井が本年度中に獲得の可能性があったタイトルは「棋王」だけだった。藤井は新設されたタイトルの叡王戦では勝ち進んでいるが、頂点を決める七番勝負は来年3月から5月行われる予定。七番勝負は来年度までまたがる可能性があり、来年3月に藤井は中学卒業見込みのため、この日の棋王戦の敗退で事実上の中学生タイトルホルダーの快挙は消滅した。

 「まだまだタイトルには実力不足です。1歩1歩、強くなっていきたいと思います」。夏休み最後の対局となったが「この(敗戦した)経験を生かしていきたい」。残りわずかな夏休みも将棋の研究に没頭する。