将棋の史上最年少プロ、藤井聡太四段(15)が初の公式戦連敗を喫した。2日、東京・千駄ケ谷の東京将棋会館で行われた第7期加古川青流戦準々決勝で、前期優勝の井出隼平四段(26)に131手の激戦の末に敗れた。8月24日の棋王戦挑戦者決定トーナメントの豊島将之九段(27)戦に続いての黒星。これで通算38勝5敗となった。すべて後手番での敗戦だった。

 対局開始から約3時間後、藤井がガックリとうなだれた。グラスのお茶を一杯飲む。相手の最後の1手を見てから40秒後、覚悟を決めて「負けました」と投了した。

 互いに1時間の持ち時間を使い切り、64手目から1手1分未満で指す「1分将棋」。藤井は先に仕掛けたが攻めきれず、反撃を許した。「中盤うまくかわされた。秒読みの中で対応を間違えた」と唇をかんだ。公式戦初の連敗にも「対局を重ねれば、当然起こること。すべて自分の実力です」。現実を受け止めた。

 今日3日は、第67回NHK杯2回戦で森内俊之九段(46)と対局する。藤井の活躍を受け、NHKでは午前10時からEテレで対局を生放送。第57回決勝以来、約10年ぶりの対応を取った。全国のファンが見守る中、名人8期、竜王2期などを保持した第一人者を相手に、中学生棋士が初連敗からの再スタートを切る。【赤塚辰浩】

 ◆藤井の今後予定

 ◇3日 NHK杯トーナメント2回戦=森内俊之九段(午前10時からEテレで生放送)

 ◇7日 新人王戦準々決勝=佐々木大地四段(東京将棋会館)

 ◇14日 順位戦C級2組4回戦佐藤慎一五段(東京将棋会館)