年末の風物詩、「現代用語の基礎知識選 2017ユーキャン新語・流行語大賞」が1日、都内で発表され、「インスタ映え」が年間大賞の1つに選ばれた。

 「インスタ映え」は、写真を投稿、共有するアプリ「インスタグラム(インスタ)」を前提とした、インスタに公開した写真が見栄えの良いと言う意味で用いられる。選考委員の詩人・俵万智氏は選評の中で「今年も、ネットの強さを感じた。(中略)ネットは、言葉を素早く広め、また消費し尽くす。流行語の寿命が短い要因の1つだろう。ネットを使っているかどうかで、言葉の届く時間に差も生まれる。(中略)写真や動画が圧倒的な説得力を持つのも特徴だ」と評した。

 「インスタ映え」は、前日の11月30日に三井住友銀行系のSMBCコンサルティングが発表した「2017年ヒット商品番付」でも東の横綱に選ばれている。SMBCコンサルティングは「インスタ映えを念頭に置いた商品やサービスの開発が必要になった」と、「インスタ映え」の重要性を説明。「生活スタイルの転換を促す商品や現象が見られた」と評している。

 同日、都内で行われた「JC・JK流行語大賞2017」発表会でも、アプリ部門でインスタグラムが1位に選ばれた。特に写真や動画の投稿や共有、ライブ配信が出来る機能「ストーリー」が人気であることから選ばれたという。

 「JC・JK流行語大賞2017」は、女子大生社長として知られる、慶大2年生の椎木里佳さん(20)を中心に、女子中高生向けのマーケティング支援などを手がけるAMFが、女子中高生100人のアンケートを元に選出した。椎木さんは「アンケートを取った時に知らない言葉を、いっぱい勉強させてもらった。次、来るって思うのは女子中高生のみんなの方が感度が高い。自信は正直、めちゃくちゃある。絶対に流行ると思います」などと語った。そして「超えたいという思いから始めた。やっぱり流行って、女子中高生が作っていくものだと思っている。『JC・JK流行語大賞』をチェックしておけば本家よりもいい情報が得られるかも知れません」と「新語・流行語大賞」への対抗心を口にした。

 「新語・流行語大賞」選考委員の俵氏は、選評の中で「『写真写りがいい』って、褒め言葉ではなかったような気がするのだけれど」とも評したが、それを褒め言葉にしたのは、椎木さんを始め、インスタなどのSNSを交流のキーアイテムに使う若い世代だ。写真と短文で思いを発信できる、インスタを使用する芸能人も増える一方だ。

 選考委員で、「現代用語の基礎知識」の清水均編集長は「言葉から世相が見える? それって本当なんだろうか。日々新語を捕獲しながら、実のところ、ここ数年は疑念を抱かざるを得ませんでした。(中略)それぞれの集団、それぞれの世代に届く範囲でのにぎやかさにすぎない。発信する側も多様なら発信に使われるメディアも多種多様で、そこに浮かび上がるのは「世相」ではなく「個相」と呼ぶべきものであります」と評した。「個相」の象徴的な言葉「インスタ映え」が年間大賞に選ばれたことは、「新語・流行語大賞」と時代の転換を示すと言えるのではないだろうか?【村上幸将】