7日午後8時半ごろ、東京都江東区にある富岡八幡宮の敷地内で、神社関係者の男女計4人が切りつけられるなどのけがをし、男女3人の死亡が確認され、1人が軽傷を負った。

 現場近くには、血が付いた日本刀やサバイバルナイフが落ちており、警視庁は富岡八幡宮内のトラブルの可能性があるとみて、調べている。

 死亡した3人のうち、1人は同八幡宮の女性宮司、富岡長子さん(58)。切りつけたとみられる弟(56)は死亡しており、警視庁は自殺とみている。

 同八幡宮をめぐっては06年1月、親族間のトラブルが表面化。「積年の恨み。地獄へ送る」「今年中に決着をつける。覚悟しておけ」などと書かれたはがきを姉に送りつけたとして、脅迫の疑いで、弟が逮捕されるトラブルも起きている。

 神社の社務所は8日未明、規制線が張られ、警察や神社関係者が慌ただしく出入りする姿がみられた。近くに住む30代男性は「普段通りに帰り道を歩いていたら、血まみれの男性が倒れているのが見えた。安全な町なのに驚いている。怖い」と話した。

 

 ◆富岡八幡宮 江戸幕府時代の1627年(寛永4)に創建された。徳川将軍家の手厚い保護を受けたとされ、「江戸最大の八幡様」をうたっている。江戸勧進相撲の発祥地としても知られ、明治時代には歴代横綱を顕彰する碑が建立された。新横綱が誕生した際には、名前を刻む「刻名式」や土俵入りが奉納され、横綱稀勢の里も今年6月、刻名式に出席。毎年8月の「深川八幡祭り」は、赤坂の日枝神社の山王祭、神田明神の神田祭とともに「江戸3大祭り」の1つで知られ、大勢の見物客が水を浴びせる「水掛け祭り」として親しまれている。