計13万人の来場者を集めた「2017国際ロボット展」がこのほど終了した。22回目の今年は産業用だけではなく、介護福祉、災害対応、生活支援など、多彩な役割を持ったロボットが登場した。「働き方改革」として人間の仕事の代わりに行うだけではなく、人に優しい社会の実現に向け過去最大規模での開催。ただ日本ロボット工業会の冨士原寛専務理事(62)は「人に代わるロボットは永久に作れない」と話す。

 ロボット展には、前回15年を上回る612社、2775ブース(前回は446社、1882ブース)の出展があった。自動車の溶接や塗装、食品などのパッケージ、電子部品の組み立てなどといったおなじみの産業ロボットだけではなく、用途はさまざまな分野に広がっていた。

 「第2次産業の生産設備の1つだったロボットの役割が、ここ数年で第1次産業や第3次産業にまで広がった」と、冨士原専務理事は言う。企業だけでなく、大学や地方自治体などが研究・開発に携わっているのも大きな特徴。人工知能「AI」が注目されるなど、今後の期待が大きい分野だけに開催4日間で来場者は13万人に上った。

 多くの来場者を集めたのが、ミカンの収穫などといった農業の現場でライフジャケットのように衣服の上から着用する「パワーアシストスーツ」。東京理科大などで公開されていた。スイッチを押すと、スーツ着用者は女性でも重量20キロほどの物を軽々と持ち上げられる。介護の現場では、介護士らが要介護者を抱きかかえる時などへの応用も期待される。

 ヘビのような形をした「索状ロボット」も注目を集めた。先端にLEDライトや人を感知するセンサーを搭載し、ゲームのコントローラーを手にした人が遠隔操作しながら、がれきが重なった隙間を縫うように進む。もとは天井裏などのインフラ点検用として開発されたが、東日本大震災などを契機に、災害時の被害者救助にも転用されている。

 また、既にホテルのフロントなどで活躍している多言語機能を搭載したロボットも展示。会場でさまざまなロボットを見ていると、もう人間の労働力はいらなくなるのでは、とも思えてくるが、冨士原氏は「いずれ介護や災害の現場など、人の手が及ばないところでロボットに活躍してもらう時代になるだろう。ただし、人に代わるロボットは永久に作れないですよ」。ロボットがどんなに進化しても、最終的な判断に人間の頭脳は不可欠。あくまで人間が行うことと、ロボットに任せることを線引きすべき、と強調していた。【赤塚辰浩】