東京・上野動物園で6月に生まれたジャイアントパンダ「シャンシャン(香香、雌)」と母親シンシンの一般公開が19日、同園で始まった。上野生まれのパンダの公開は、1988年(昭63)に誕生した雄のユウユウ以来、29年ぶり。観覧は抽選方式だったこともあり、大きな混乱もなく、初日はほぼ予定通り約2時間半の公開で終了した。シャンシャンは木登りをするなど愛くるしい姿を見せ、来園者からは「かわいい」「抱いてみたい」との歓声が上がった。

 上野の新しい看板娘をひと目みようと、この日は開園前から長い列ができた。一番乗りで観覧した川崎市の会社員、北川栄一さん(49)は午前7時に来園したという。6月の誕生以来、念願の対面を果たしたシャンシャンについて「木登りをしているところだった。かわいい顔もこっちに向けてくれて、一足早いクリスマスプレゼントをもらいました」と笑顔で話した。

 この日は約40倍の抽選をくぐり抜けた、486組1419人が観覧。約20人ずつのグループでパンダ舎を5分ほど回り、母子の姿を写真や動画に収めた。

 シャンシャンは母親のシンシンとじゃれ合ったり、おっぱいを飲む姿も見せたが、公開終了直前の正午すぎにはお昼寝モード。それでも、横浜市の中学1年、水上慈温(しおん)君は「寝ている様子もかわいかった。シンシンが最前列でササを食べているところも見られました」と声を弾ませた。

 パンダ女子も、シャンシャンに大興奮だ。神奈川県横須賀市の会社員、西谷冴子さん(23)は、上着から靴下まで、全身パンダのコーディネートで来園。「シンシンとシャンシャンが、じゃれついている姿を見られた。撮った動画は一生の宝物です」。自宅アパートにはぬいぐるみなど約500種類のパンダグッズがあるという。「パンダ愛は誰にも負けない。絶対にまた来ます」と力強く話した。

 約2時間半の観覧時間はトラブルもなく無事に終了。シンシンに頭をくわえられて引きずられるなど、かわいい姿で来園者を楽しませたシャンシャンのデビュー初日について、渡部浩文副園長は「大きな混乱もなく公開を迎えられた」とほっとした様子。「時間を限定して心苦しいが、シャンシャンの様子を見ながら徐々に観覧時間を延ばしていきたい」と話した。【太田皐介】