日刊スポーツ社会面は、年末連載「プレーバック2017」として、今年の取材現場を振り返る。今秋、衆院解散後の「排除」の流れを受けて、民進党を出て立憲民主党を立ち上げ、排除勢力に一矢報いた枝野幸男代表(53)が、日刊スポーツのインタビューに激動の日々を振り返った。

 主な一問一答は次の通り。

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 -枝野さんの名前は「憲政の神様」尾崎行雄から取ったといわれる。立憲民主党と名付ける時、その意識はあったのか

 枝野氏 立憲主義へのこだわりはあったし、恐らく我々のチームのアイデンティティー(存在意義)を短い言葉で言うには、欠かせないワードだと思った。古くさい、硬いという意見もあったが、先人がいい政治を作るために挑戦してきたいい歴史を引きつぐことは、前向きに受け入れてもらえると思ったし、実際にそうでした。

 -古巣民進党の混乱をどう見ていますか

 枝野氏 離れた立場なので、評論的に口を出してはいけないと思いながら見ています。(会いたいと言った)蓮舫さんとの面会日程は決まっていないが、今、民進党にいる方、党が決めたという理由で希望の党に行った方、無所属で戦った方。いろんな経緯と思いの中、いろいろご苦労されているとは思う。事情を理解した上で、いろんな事情を抱え、考えの近い皆さんのご苦労を見守っている。

 -枝野さんには「もっと寛容に」という声もある

 枝野氏 寛容なつもりですが、元々の仲間だから、元さやに戻ろうというのは、有権者への裏切りになる。国民に何を約束したのかというその線は、動かせない。考え方の近い皆さんについて、できる限りの配慮をしたいと思うが、一定の限界がある。有権者との関係の方が、何倍も重要だ。

 今の希望の党や、今の民進党には、いろんな考え方の人がいる。我々はそこ(党の立ち位置)を明確にしたことが(選挙で)評価された。その明確さを失ってしまうような動きをすることは、国民の皆さんを裏切ることになる。ここは曲げられない。

 -民進党からの統一会派打診も、受けないのか

 枝野氏 少なくとも、立憲と、希望の党と、考え方が違う政党両方に(打診を)投げかけるというのは、どういうお考えなのか(大塚代表に)聞いてみたい。

 -衆院選後、所得税増税の話が出てきたり、有権者には納得できない話も多い。年明けからの通常国会ではどう対応する

 枝野氏 野党にとっては、(半年近い期間がある)通常国会が主戦場。いよいよ本格的な国会論戦がはじまる。「弾込め」と呼んでいるが、さまざまな準備は進めている。優秀な新人には、どんな持ち味があるのか。辻元(清美)国対委員長が議事録、動画を全部チェックし、適材適所で本格的な国会論戦に備える作業を進めています。

 -地方組織の立ち上げは

 枝野氏 今のところ、議員がいて拠点がつくりやすいところから始めています。拠点ができていないところにもつくっていきたいが、焦って無理をしようとは思わない。5年、10年先に向け、しっかりした基盤をつくっていきたい。これまで民進党にいた方で、立憲民主党と考えが近い方との関係をどうしていくか、そこを大事にしながら、でも地方議会で我々とともに活動してくれる人がいないと、草の根の民主主義はできない。積極的に(19年の)統一地方選に備えたい

 -慎重なのは、長期的な戦略があるからですか

 枝野氏 この党をつくる時から、長く続く政党をつくらなければだめだと。数年で消えていくような政党ではダメで、本格政党でなければならない。それが党名にもつながっている。目先の支持率も大事だが、そちらに気を取られて、中長期的な戦略を見失ってはいけないと思う。(インタビュー4に続く)