将棋の最年少プロ、藤井聡太四段(15)が、史上初の中学在学中の五段昇段を果たした。1日、東京・千駄ケ谷の将棋会館で行われた第76期名人戦・順位戦C級2組9回戦で梶浦宏孝四段(22)を114手で下して9連勝。単独首位を守り、最終10回戦を待たず、C級1組への昇級を決めた。同時にC2からC1に上がれば即日昇段という規定を満たし、五段に昇段。天才少年が、大目標とする名人獲得に大きく前進した。

 得意の終盤力で激戦を制した藤井は対局後の会見で、「踏み込んでいけたのが良かった。順位戦での昇級、昇段を目指して1年間戦ってきた。目標を果たせてうれしい」。勝利、昇段、昇級の喜びをかみしめながらも表情は変えなかった。

 日本将棋連盟によると、五段昇段した最年少記録は、現在の制度とは異なるが加藤一二三・九段が55年4月1日に樹立した15歳3カ月。だが中学卒業後の達成だった。同じく中学生でプロデビューした谷川浩司九段と羽生善治竜王はC2を突破するのに2期、渡辺明棋王は3期かかっている。並みいる先輩たちを超えるスピード昇進で、藤井がまた1つ歴史を塗り替えた。

 藤井は現在、第11回朝日杯オープンでベスト4に進出している。今月17日に行われる羽生との準決勝、続く決勝に勝って優勝すれば、15歳6カ月の公式戦の史上最年少優勝(従来の記録は55年11月に「六・五・四段戦」で加藤九段が達成した15歳10カ月)となる。同時に「五段昇段後、全棋士参加棋戦で優勝」の条件を満たして、六段になる可能性もある。藤井は「力を出し切って臨みたい」と、意欲的だった。

 ◆順位戦 順位戦は名人を頂点に、A級(降級3人)以下、B級1組(昇級2人、降級1人)、同2組(昇級2人)、C級1組(昇級2人)、同2組(昇級3人)と、ピラミッド式に格付けされる。1年1期で各組のリーグ戦10回戦を行う。A級優勝は名人戦挑戦者となる。B1以下は、1クラスずつ昇級。逆に成績が悪いと降級する。新人はC2でデビュー。名人になるには最短で5年。