【江陵16日=村上幸将】ユヅくん、すごい! フィギュアスケートの羽生結弦(23)が、平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)男子ショートプログラム(SP)で圧倒的な滑りを見せ、首位に立った。会場の江陵アイスアリーナには、日本はもちろん世界各地から「ユヅ女子」が集結。演技後、羽生が大好きな「クマのプーさん」のぬいぐるみがリンク上に大量投下されるなど完全復活に沸き上がった。

 羽生が演技を終えた瞬間、客席からは大歓声とともに、大量のクマのプーさんがリンクに投げ込まれた。その数は少女スケーターの回収スピードを大きく上回り、次の滑走だったチェン(米国)がしばらくリンクに入ることが出来なかったほど。氷上の各所がプーさんの黄色に染まる異様な光景に、地元韓国の聯合ニュース電子版は「プーさんだらけ! 羽生の人気はすごい!!」と驚きを交えて速報した。

 演技前から、会場は期待と興奮に包まれた。最終組6人の1人として羽生がリンク脇に姿を見せると、スタンドの視線は「王子」に集中。6分間の練習で4回転、3回転ジャンプを相次いで成功させると、本番のような拍手と歓声が湧き起こった。

 昨年11月のNHK杯前日練習中、右足関節外側靱帯(じんたい)損傷で戦線離脱。復活を待ちわびたファンは、羽生の美技1つ1つに酔った。SP終了後、観客は総立ち状態。あちこちで日の丸や羽生の写真入りの旗が振られ、完全ホームのようなムードだった。111点超えの得点がアナウンスされると、どよめきはさらに高まった。そんな中、スタッフが必死で回収したプーさんが、リンク外にうずたかく積み上げられた。

 この日、客席に陣取った「ユヅ女子」は日本はもちろん、地元韓国、米国、中国、フィリピンなど世界各国から集まっていた。ハンガリーから男子フィギュアを見るために訪れ、とんぼ返りするという弁護士リッラ・ボグナラさん(31)は「6年前からユヅのファン。彼がひどいケガから完全復活して、本当に幸せ」と、ほおを赤らめていた。