森友学園への国有地売却に関する財務省の文書改ざん問題を巡り、佐川宣寿・前国税庁長官(60)の証人喚問が27日、参院の予算委員会で行われた。

 佐川氏は、民進党の小川敏夫氏から、安倍晋三首相が17年2月17日に衆院予算委員会で「私や妻が関係していたら総理大臣も国会議員も辞める」と答弁したことが、文書改ざんなど一連の問題に影響を与えたかと聞かれると「私も予算委員会で聞いていた。(自分の)答弁の前後で変えたという認識はございません」と、安倍首相の発言に忖度(そんたく)していないと断言した。

 また安倍首相の昭恵夫人付の政府職員で、森友学園前理事長・籠池泰典氏との連絡を仲介していたとされた谷査恵子氏から、籠池氏が土地の価格が「買い取り価格がべらぼうに高い」などと言ってることも伝わった? と聞かれると、「谷さんが籠池さんに送ったというファクスは読んだ。個別にどういうやりとりを田村がしたかは承知していない」と、当時の田村嘉啓国有財産審理室長が対応していたと繰り返し主張。

 また「『昭恵夫人からも聞いてもらったことがあると思う』という当事者から発言があった。その前提の事実もあったと考えるが、具体的なことは確認していない?」と聞かれると「(田村室長と)具体的なことは話していないし『現場で対応します』と。昭恵夫人に言われたみたいな話は、私が知らないので、そういう会話は交わしようがない」と答えた。

 佐川氏は、田村氏の件について語る際、理財局長当時、部下だった田村氏のことを「田村」と呼び捨てにして、その都度「失礼…田村室長」と言い直す一幕もあった。

 また大阪航空局が当時、くい掘削箇所について深さ9・9メートル、その他は深さ3・8メートルまでに、ごみが47・1%の割合で存在するとして、処理量を1万9500トン、撤去費用を8億2000万円と算定したことについて、深度、混入率とも「十分な根拠が確認できない」と指摘したことについては「会計検査院の指摘は重く受け止めるべき。ただ9、9メートルのくい、国土交通省の検査は正しいと判断した」と答えた。「現在、振り返ってごみに客観的な根拠がないと言われてもしょうがないと思う?」と聞かれると「詳細な記録は読んでいないが重く受け止めている。当時、職員が調査し、新たなゴミが出てきた。積算した判断は変えていない」と答えた。