安倍晋三首相と野党4党首の党首討論が30日、国会内で開かれた。

 党首討論は16年12月以来、約1年半ぶりだが、決められた45分の持ち時間を4野党で分け合うと、最大でも、野党第1党、立憲民主党の枝野幸男代表の19分という短さ。質問に首相が正面から答えない場面も多かったこともあり、特に、森友、加計学園問題にしぼって追及した枝野氏、共産党の志位和夫委員長と、首相の質疑は、議論がかみ合わないまま、野党側の持ち時間が時間切れ終了。党首間の「討論」にはほど遠い、質疑内容になった。

 枝野氏は、「衆院会派」無所属の会の岡田克也代表に2分を譲ってもらったことへの謝意を示し、質問を始めた。首相が、自身や夫人の関与があれば辞任するとした昨年2月の答弁に関し、28日の集中審議で、責任が生じる関与の範囲を贈収賄に限定したことを「ひきょうな行為」と批判。真意をただしたが、首相は、枝野氏と初当選同期であることにまず言及し、「骨太の議論ができると思っていたが、まずはこの質問」と、チクリ。枝野氏の指摘について、過去にも同じ答弁をしているとして「急に新しい定義を定めたわけではない」と、反論した。

 枝野氏は「過去の答弁についても調べているが、『金品授受の疑いがなければ』とは受け取れない」と指摘。しかし、首相は「森友問題の本質はそういうことなんですか」と、はぐらかし、野党席から「ええええ」と激しいやじが飛んだ。

 加計学園の獣医学部新設計画問題についても、首相は「見失ってはならないのは、なぜこれまで獣医学部が新設されなかったのかということ」「大事なのは(認可までの)プロセスが公正公平だったかどうか」と質問に正面から答えず、枝野氏は締めの質問すらできずに、時間切れとなった。

 国民民主党の玉木雄一郎代表は15分の持ち時間を、経済や外交に投入。続く共産党の志位和夫委員長は、枝野、玉木氏よりさらに短い6分の持ち時間で、再びモリカケを追及。「改ざん、隠蔽(いんぺい)、廃棄、虚偽答弁。こんな悪質な行為を引き起こしたのは安倍政権が歴史的に初めてだ」と迫ったが、首相が答弁し、志位氏が内閣総辞職を求めたところで、持ち時間は終了してしまった。

 日本維新の会の片山虎之助代表は、政と官の関係などについて質問した。

 党首討論は、英国の「クエスチョンタイム」を参考に導入された。99年11月、予算委員会の合同審査会として当時の小渕恵三首相に、鳩山由紀夫・民主党代表、不破哲三・共産党委員長、土井たか子・社民党党首が臨み、現在の形になったのは2000年2月から。