東京都新宿区歌舞伎町2丁目のコインロッカーから生後間もない女児の遺体が見つかった事件で、警視庁新宿署捜査本部は2日、死体遺棄の疑いで、母親の住所不詳、自称無職戸川万緒容疑者(25)を逮捕した。戸川容疑者は滞在していた歌舞伎町の漫画喫茶で出産したと供述している。女児には首を絞められたような痕があり、殺人容疑でも調べる。

 捜査本部によると、逮捕された母親の戸川容疑者は容疑を認め、「漫画喫茶で子どもを産んだ。声を上げたので周囲にばれると思い殺した」との趣旨の供述をしているという。女児は首に絞められたような痕があり、捜査本部は殺人容疑でも調べる。逮捕容疑は5月29日午後1時40分ごろまでに、新宿区歌舞伎町2丁目の屋外のロッカー内に生後間もない娘の遺体を遺棄した疑い。女児の遺体は死後1~3カ月程度が経過しており、同日、異臭に気づいたロッカー管理会社の従業員が110番通報した。ロッカーは歌舞伎町のラブホテルやホストクラブなどが集まる一角にある。

 捜査本部は防犯カメラの画像から、数日にわたりロッカーの前を行き来するフードをかぶった不審な人物を確認。1日夕に歌舞伎町で戸川容疑者を発見し、事情を聴いていた。現場周辺の漫画喫茶で寝泊まりしていたという。戸川容疑者はロッカーの料金を支払い続けていたといい、発覚を免れようとしていたとみられる。

 レイプ被害や望まぬ妊娠をして誰にも相談できずにいる女性の相談窓口を開設し、支援している新宿区のNPO法人「10代・20代の妊娠SOS新宿-キッズ&ファミリー」の佐藤初美代表は「相談してくだされば支援につなげることができた」と肩を落とす。歌舞伎町では「普段過ごすネットカフェからSOSのメールをくれる女性もいる。妊娠したがお金がなく、病院にも行けないという相談がある」という。

 毎日午後6時~午前0時の電話相談(【電話】03・5155・2907)と24時間のメール相談で、16年から約2年間で約290人の相談を受けてきたが「まだまだ認知されていない」。ネットカフェにパンフレットを配布したくても「置いてもらえない」のが現状だが「新宿区からの助成も受けた今年は、1店舗でも多く配布して支援につなげ、今回のような事件が起こらないようにしたい」と話した。