6日に死刑が執行されたオウム真理教の松本智津夫元死刑囚(執行時63=教祖名麻原彰晃)の遺体が9日、東京都府中市の葬祭場で火葬された。遺骨は東京拘置所に戻されたが、引き取り先は決まっていない。警察などは松本元死刑囚の神格化を警戒しており、行方を注視している。

 複数の関係者によると、元死刑囚は6日の執行直前、自身の遺体を四女(29)に引き渡すよう伝えていた。四女側は当初、当面は拘置所で保管してほしいとの意向を示していたが、9日夜、代理人のブログを通じ、元死刑囚の遺骨を受け入れる意思を示した。

 一方、妻(59)や三女(35)らは遺体の引き渡しを求める要求書を7日付で上川陽子法相に提出。要求書では、松本元死刑囚との意思疎通は困難で、「特定の人を指定することはあり得ない」と主張している。

 法務省は対応を検討中だが、火葬については家族の同意が得られたという。規定では、遺体の引き渡し先は、死刑囚が事前に指定した人が優先される。松本元死刑囚は、元教団幹部の妻との間に2男4女がいる。

 松本元死刑囚と同時に東京拘置所で死刑が執行された、土谷正実元死刑囚(執行時53)も同日、火葬された。