ハンガリーで9日、4月の総選挙で圧勝した中道右派「ティサ(尊重と自由)」のマジャル党首(45)が新首相に就任した。親欧州連合(EU)の新政権は、16年に及んだオルバン前首相(62)の長期政権の体制と決別する。ロシア寄りの姿勢が顕著だったこれまでの外交方針も見直す。

マジャル氏は議会での演説で「支配ではなく、祖国に奉仕する」と強調。「ハンガリーの歴史に新たな章を開き、政権だけでなく体制を変える権限を国民が与えてくれた」と謝意を示した。

外交に関し「ハンガリーの居場所は欧州にある。自国の利益を明確に代表し、強く尊敬される欧州のハンガリーを築く。国際的な信頼を回復し、同盟関係を再構築する」と述べた。

オルバン政権下で就任したシュヨク大統領や政府機関トップらに5月中の辞任を求めた。前政権時代の汚職や不正を調査し、資金を回収する専門機関の設置も表明した。

議席ゼロの新興野党だったティサは憲法改正が可能となる総議席の3分の2を上回る141議席を獲得。オルバン氏が率いた右派「フィデス・ハンガリー市民連盟」は83減の52議席と惨敗した。

新政権は、EUの方針に反対してウクライナ支援を阻んできた前政権とは打って変わり、EUとの関係改善を最優先課題に挙げる。ウクライナとの関係も修復。前政権下で進んだメディア規制や後退した司法の独立性の改善も進める。

撤去されていたEUの旗が再び掲揚された国会議事堂前の広場には数万人が集まり、国旗やEU旗を掲げて、祝賀ムードとなった。グラフィックデザイナーのベルタさん(26)は「国民の分断をあおってきた抑圧からの解放の日だ。皆が結束し、新しく別の国になってほしい」と喜んだ。