日産自動車のカルロス・ゴーン前会長(64)が、約71億7400万円だった16年3月期~18年3月期の役員報酬を約29億400万円と約42億円少なく有価証券報告書に記載したとして、東京地検特捜部は10日、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで同容疑者と前代表取締役グレゴリー・ケリー容疑者(62)を再逮捕した。

2人が「退任後の支払いは確定しておらず報告書への記載義務はない」と供述する一方、特捜部は複数の社内文書を入手。「報酬契約書」には報酬総額、支払われた額、未払い額が並び、ゴーン容疑者らのサインもあり、支払額は確定していたとみている。

逮捕後、4回接見した在東京ブラジル総領事館のジョアン・デメンドンサ・リマ総領事によると、ゴーン容疑者は東京拘置所内で青のジャージーなどを着ており「健康状態に問題はなさそう」で、食事や扱いも「文句や不満も出ていない」という。取り調べ時間以外は独房で米誌タイムや英誌エコノミストなどを読み、特に偽証罪で実刑判決を受け服役経験のある英人気作家ジェフリー・アーチャー氏の著作は、ミステリー好きということもあり自ら差し入れを依頼したという。

一方関係者によるとケリー容疑者は持病による症状が出ており、弁護人が東京地検に対し医師の診察を受けられるよう求めている。

再逮捕により、勾留期間は最長で計40日間に及ぶ。フランスのフィガロ紙電子版は10日、「(ゴーン容疑者は)クリスマスは監獄で過ごすことになる」と速報で伝えた。