4月1日に日本の囲碁史上最年少の10歳0カ月30日で初段になる、小学4年生の仲邑菫さん(9)が22日、韓国・ソウルの韓国棋院で会見を開いた。

今日23日に女流棋士として世界屈指の実力を持つ崔精(チェ・ジヨン)九段(22)との記念対局に臨む菫さんは「世界で戦える棋士」と目標を語った。そして目標の棋士に世界ナンバーワン棋士に朴廷桓(パク・ジョンファン)九段(26)を挙げた。

菫さんは、父の信也九段とアマチュアの強豪だった母幸さんを伴った会見で、日本語と修業中に身に付けたハングルを交えて、はにかみながらも「勝つ時がうれしいです」と、囲碁をやっている中で感じる喜びを素直に口にした。その一方で世界で戦うことを目標に掲げ、目指す理想の棋士として朴九段の名を挙げた。

朴九段は、昨年3月のワールド碁チャンピオンシップ決勝で井山裕太棋聖(29)を下した、世界屈指の棋士だ。世界の棋士の実力を一定の評価値で算出するサイト「Go Ratings」のランキングは1位で、26位の井山棋聖を圧倒。朝鮮日報電子版は「日本の天才少女『朴廷桓のようになりたい』」と報じた。

今回の渡韓は、18年4月からソウルで武者修行した菫さんが、プロデビューを前に韓国棋院をはじめ、お世話になった関係者にあいさつすることが目的だった。その中、韓国棋院から女流名人では世界で2強とも言われる崔九段との記念対局の企画が出て日本棋院側が応じた。信也九段は、菫さんを韓国に修業に出した意図について「日本には、同年代で(レベルの近い)対戦相手がいなく、朝から晩まで囲碁を学ぶ環境がない。韓国の環境が良く留学を決意した」と説明した。

プロ入り前に、世界トップとの腕試しが出来るチャンスを前に、菫さんは「頑張ります」と口にした。その横で、修業先の韓鐘振囲碁道場の韓鐘振九段は「初めて見た時から、この子は大成すると思った。誰と指しても萎縮せず自分の囲碁を貫く」と期待を込めた。