トランプ米大統領は5日夜(日本時間6日昼)、上下両院合同会議で、恒例の一般教書演説に臨み、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長との米朝首脳再会談を、今月27、28両日にベトナムで開くと正式に発表した。

米朝首脳会談は、昨年6月のシンガポール以来だが、最初の会談から約7カ月、米朝関係に劇的な進展は見られない。今回の再会談でも、北朝鮮の実質的な非核化が進展するかどうかが最大の焦点だ。トランプ氏は「やるべき仕事は多く残っているが、金正恩氏と私は良い関係だ」と強調。北朝鮮が求める体制保証などで一定の譲歩を示しつつ、非核化の具体的措置を引き出したい考えだ。

トランプ氏が大統領に就任後、米国では国民の分断が進むばかり。政策でも明確な成果は出せていない。トランプ氏は再選を目指す来年の大統領選を前に、停滞する国内政策より外交で成果を急ぎたいのが本音だ。譲歩しすぎると正恩氏ら北朝鮮のペースに巻き込まれる懸念もある。会談場所はベトナム中部ダナンが有力。トランプ氏は同時期に、中国の習近平国家主席との会談も模索している。

一方、トランプ氏は一般教書演説で、不法移民阻止に向けたメキシコ国境の壁建設に、あらためて強い意欲を示した。「国境の危機」に終止符を打つには壁が必要だと持論を繰り返し、演説の多くの時間をこの問題に割いた。昨年11月の中間選挙以降、下院で民主党が多数派を握る「ねじれ議会」に直面。民主党に和解を呼び掛けつつ、国境管理など重要政策では妥協しない姿勢を堅持したため、分断が深まる米国民の結束には遠い演説に終わった。