2020年東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会などは7日、都内で被災地復興支援連絡協議会の第2回会合を開き、「復興五輪」に向けた重点的な取り組み事項を確認した。東京電力福島第1原発事故の影響で風評被害が続く福島県からは、五輪を契機に来日する観光客らに産品を食べてもらえるような施策を要望した。

会議後、取材に応じた組織委の武藤敏郎事務総長は大会本番時、会場内かその周辺で被災地の産品を世界に発信する計画を検討するか問われ「当然そうだと思う。現時点で具体案は言えないが努力をしたい」と語った。関係者によると、選手村やライブサイトなどがその候補地だという。

東京都は被災地(岩手、宮城、福島、熊本)の子どもたちを大会本番の観戦に招待する計画を提案した。被災した子どもたち、ジュニアアスリートらが対象となる予定。バレーボール会場となる新設の有明アリーナ(江東区)には、同4県の復興のシンボルとなる樹木を祈念植樹する計画も発表した。

同会議は14年7月以来、2度目の開催となるが、実務者レベルの「幹事会」はこれまで4度行ってきたという。記者団から「忘れ去られていた印象もあるが」と問われ、武藤氏は「会議を開いたからといって実行できるわけではない。復興五輪の名に恥じぬようなプロジェクトを実行してきたと思っている。少しずつ五輪が復興の役に立っているのかなと思うが、これからも努力したい」と答えた。

招致段階で復興専門委員会が12年12月、「被災地企業への優先発注」「被災地での競技開催」「被災地からのスタッフ募集」などの32項目の復興支援事業を策定。今回それらを、あらためて実行できるものなどに整理。大会開催前に11事業(被災地での聖火リレー、海外メディアの被災地ツアーなど)、開催中に7事業(宮城と福島での大会開催、開閉会式を通じた被災地の現状発信など)、開催後に2事業(復興祈念植樹の実施など)と取りまとめた。