厚生労働省による統計不正に絡み、1日に突然更迭された大西康之・元政策統括官(現・官房付)が8日、衆院予算委員会に参考人として招致され、立憲民主党の質問に答えた。統計不正が発覚した昨年12月時点で責任者だったキーマンの国会招致は、初めて。

大西氏は、毎月勤労統計の不正を知ったのは昨年12月13日とした上で、部下を通じた上司への報告は同18日、自身が報告したのは翌19日と述べた。根本匠厚労相への報告は同20日で、1週間も「たなざらし」だった現状が露呈。「口封じ」とされる更迭の感想を問われると、「他の方がどうか分からず、答弁できない」と述べるにとどめた。

一方、大西氏以上に怒号を浴びたのは、不正を調べる特別監察委員会の樋口美雄委員長だった。現在行われている再調査の内容を問われたが、「ここには、委員長ではなく『労働政策研究・研修機構』の理事長として呼ばれている」として、答弁を断固拒否。審議停滞を招いた。野田聖子委員長が「自分の判断で話せることを話してほしい」と呼びかけると、「(特別監察委の)再調査が進んでおり、私が話したことが影響するかもしれない。厚労省に手心を加えるつもりはまったくない」とだけ述べた。

さらに野党を怒らせたのは定塚由美子官房長だった。「委員会の関係は私に聞いていただければ」と樋口氏に助け舟を出し、立民に「則を越えている」と怒られ、陳謝。疑惑解明は進まず、週明けの審議に課題を残した。【中山知子】