戦争による北方領土の奪還論に言及し、日本維新の会を除名された丸山穂高衆院議員(35)に対し、15日、辞職勧告決議案提出の動きが表面化した。これに対し丸山氏は自身のツイッターで「相応の反論と弁明を行う」と徹底抗戦の構えで、決議案可決でも辞職しないと主張した。戦争に言及した自身の発言が問題視されていることは棚に上げ、他議員の不祥事や各会派の問題点を世に問うと、すり替えのような持論も展開。さらに反発を呼びそうだ。

立憲民主や国民民主など野党各党派は15日、辞職勧告決議案を提出すべきとの認識で一致した。ビザなし訪問団の一員で国後島を訪れた丸山氏は、戦争による北方領土奪還論を、元島民の団長に、酒に酔いながら主張。政治家の資質を欠くことが理由としている。

国民の玉木雄一郎代表は会見で「衆議院の沖縄北方特別委員会の委員として派遣されており、国会としてけじめをつけないといけない」と指摘。維新の松井一郎代表は日本記者クラブの会見で、「出されればもちろん賛成する。ことの重大さに気づいてほしい。今後の人生のためにも、早急に潔く身を処すべき」と、早期の辞職を求めた。

この動きに丸山氏は15日夕、ツイッターで反論。辞職勧告決議案が提出されれば、自ら反論や弁明し、ユーチューブなどを使って配信すると述べた。発言を撤回し、謝罪したことに触れ「これ以上、ことを荒立てるつもりはない」としながらも「言われたまま黙り込むことはしない。可決されようがされまいが、任期を全うする」と、辞職勧告に応じない意向も記した。

辞職勧告決議案提出の動きは「野党側の感情論」とし、「普段は冷静な与党まで含めて審議に進むなら、この国の言論の自由が危ぶまれる話」と主張。「戦争」発言も、言論の自由の一環との認識を表明。今回の問題とは無関係の他議員の不祥事や各会派の問題点も「この機に世に問いかける」としたが、国会関係者は「国会議員が酔った上で戦争に言及したことが問題なのに、論点をすり替えている。事の本質が分かっていない」と言葉を失った。

議員辞職勧告決議案に法的拘束力はなく、過去に衆参で4人が可決されたが、辞職したケースはない。丸山氏は13日夜の会見以降、公の場に現れず、発信はすべてツイッター。16日は衆院本会議が予定される。報道陣の前に出て、主張するだろうか。【中山知子】