宇宙航空研究開発機構(JAXA)は27日、2008年から運用している国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」での10年間の成果などを発表した。微少重力空間でのタンパク質の結晶生成やマウスの長期飼育による骨粗しょう症、筋ジストロフィー治療薬、抗がん剤などの実験により累計1800件の査読付き論文を発表し、5件の特許取得、3件の特許出願中とした。

創薬に関しては「臨床実験には至っていないが10年間で小動物実験に到達したことは大きな成果」(小川志保・有人宇宙技術部門・きぼう利用センター長)。ISS計画におけるJAXAの年間経費は平均約400億円。開発費も含め、これまで1兆円以上が投入された。今後は民間の有償利用の導入加速や、国際協力などによる経費削減と研究成果をどのように還元していくか課題となっている。