NHKは28日、受信料の支払いを拒否している「NHKから国民を守る党(N国)」党首の立花孝志前参院議員(52)に対し、2カ月分(8、9月分)の受信料4560円の支払いを求める訴訟を東京地裁に起こしたと発表した。NHKの提訴を受け、立花氏は「全面的に争う」と司法の場での対決を明らかにした。

立花氏は7月の参院選で受信料を支払った人だけがNHKを視聴できる「スクランブル放送」の実現を公約に掲げて初当選した。8月には東京・渋谷区のNHKに自ら出向き、参院議員会館内の事務所に設置したテレビ1台の受信料契約を結んだ。直後の記者会見で「契約は法律で決まっているが、支払いは法律で決まっていない。踏み倒す」と宣言していた。立花氏は今月の参院埼玉選挙区補欠選挙に出馬(落選)したため、参院議員を自動失職し、すでに受信契約した事務所は退出している。

NHKによると、8月28日と今月7日に受信料の振込用紙を送付したが期限までに支払いがなかった。「視聴者からも毅然(きぜん)とした対応を求める声が数多く寄せられている」ことを踏まえた上で、「督促に応じて支払う可能性が極めて低いことから、受信料債権について最短で確保できる提訴を選択した」と経緯を説明した。

立花氏は争点の根拠として昨年度、受信料契約をした世帯が受信料を支払った全国平均の支払率は81・2%で約2割が支払っていないことをあげた。「支払わない人の分を事実上、上乗せした金額が設定されている」として受信料の2割には支払い義務がないと主張。立花氏は「受信料の8割は払うが、残る2割は払わない。何年間も支払いを拒否している多くの人がいる一方で、2カ月分だけで提訴するのが理解できない」と徹底抗戦の構えだ。【大上悟】