岐阜県のブランド柿「天下富舞(ふぶ)」の試食、販売が3日、都内の百貨店で初めて開催された。日本橋三越の果物売り場に並んだ最上級品は、3個で5万4000円。1個5400円の高級品もあった。

同県は、全国でも5本の指に入る柿の特産県で、日本を代表する「富有柿(ふゆうがき)」の発祥の地。2015年(平27)には県が育成した新品種「ねおスイート」の中から、特に糖度が高く、色や形の良い果実を「天下富舞」と命名した。岐阜ゆかりの戦国武将、織田信長が用いた朱印「天下布武」にあやかった。

16年、市場に初めて出荷された時は、初競りで2玉で32万4000円の値が付いた。17、18年は同54万円、今年10月には75万6000円にまで跳ね上がっている。ブランド力が確実に上昇するとともに、さらなる認知度アップと消費拡大を狙って今回、東京に初進出した。

来年1月からは、NHK大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」が放送され、主役の明智光秀の育った岐阜が舞台になる。同じ岐阜の名産品である美濃和紙は、東京五輪・パラリンピックの入賞者の表彰状に採用された。「岐阜が注目されている今を追い風にして、天下富舞も売り込みたい」と、岐阜県農政部は意気込む。

将来的には、青森県は大間産のマグロや、北海道の夕張メロンのように、初競りが大きく取り上げられるほどのブランド品として、「天下取り」を目指したいとの意向もある。