安倍晋三首相は12日の衆院予算委員会集中審議で、「桜を見る会」前夜祭に関する過去の発言をめぐり、今月4日の同委員会で、首相を「うそつき」呼ばわりした立憲民主党の黒岩宇洋氏から謝罪を求められたが、応じなかった。逆に、黒岩氏が、野党の追及本部の場で、前夜祭に高級すし店「久兵衛」のすしが供されたという事実ではない発言をしたとして、「黒岩議員に謝罪をしていただきたい」と、要求した。

黒岩氏は冒頭、4日の質疑中、首相秘書官に向かって「そこ、うるさい」などと声を荒らげた自身の発言を「申し訳ありませんでした」と謝罪。その上で、「うそをついている」と首相に指摘される理由となった、前夜祭会場のホテルの「規約」について、実際に存在するものだとして「うそをついているという断言は、非常に不名誉だ。礼を失している」と批判した。

首相自身、この「うそつき」発言について、4日に黒岩氏の次に質問した今井正人氏とのやりとり中に、発言を撤回しているが、黒岩氏本人への対応は行っていない。しかし、首相は、相手の「久兵衛」発言にこだわり続け「(黒岩氏は)うそを述べている」「久兵衛に迷惑をかけたことには、ほおかむりをされている」と譲らず、謝罪は頑として拒否した。

黒岩氏とのやりとりで野党席側のやじがひどくなると、首相は「都合が悪くなると、こちら(野党)側がやじで騒がしくなる」といらだちをみせ「非生産的で政策とは無縁のやりとりを、大切な予算委員会で長々と続けるつもりはない」と、黒岩氏とのやりとりを「非生産的」だと指摘した。

謝罪をしない首相に対し、黒岩氏は「規約について、(首相は)事実誤認だったから撤回している。謝罪をしていただきたかった」と述べた上で「私への『うそつき』という言葉を、恐縮ではありますが、そっくりそのまま、総理にお返しします」と、批判した。