立憲民主党の山尾志桜里衆院議員は12日の衆院本会議で行われた、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案の採決で、党の方針に造反して、反対した。

山尾氏は、同日開かれた野党会派の代議士会で発言を求めた際、法案に反対する意向を「予告」していた。法案の中身に加えて、党の方針が決まった経緯が民主的ではないとして、異論を唱えた。

特措法には、国民の私権を制約する可能性もある「緊急事態宣言」が盛り込まれるが、立民や国民民主党などは当初、宣言を行う際は事前に国会による承認(緊急時には事後承認)を明記するよう、修正を求めていた。

しかし、与党が難色を示したことで、政府が原則として事前に国会へ報告するという「付帯決議」を行うことで、双方が合意した。付帯決議には政治的な効果はあるが、法的拘束力はない。

山尾氏は「『承認があっても、少数野党ではひっくり返せない』という執行部の発言を聞いたが、(今回に限らず)ほとんどすべての法案がそうではないか。でも、質疑に立ち、与党を説得し、頑張って修正を勝ち取ろうと努力し、どうしてもだめと思うなら反対し、問題点を今と未来に残すことが、野党議員の大事な仕事だ」と主張。「野党議員が承認に加わっても覆らないなら、野党議員がいる意味がない」とも、訴えた。

「事前に報告をもらうのではなく、緊急事態宣言をやるべきなのか(議論を通じて)野党が責任を負うことが承認の意味だ」と、あらためて主張した上で、党の方針が決まった経緯に言及。「今回の一連の議論は、民主的とは思わない。国対に始まり国対に終わり、議員のオープンな真摯(しんし)な議論の場は本当になかった。非立憲的法案に、非民主的な方法で決まった(党方針の)賛成に、そのまま賛成はできない」と述べ、執行部の方針を厳しく批判した。