コロナ禍で外出制限やテレワークの日々を送るなど、苦難の日々が続いています。プロ野球やJリーグなど各種スポーツ、芸能イベントも開催できない状況です。日刊スポーツでは心温まる、ホッとひと息つける「ホッコリ ニッカン」を展開中。「日本の色」と題して、鮮やかな写真とともにお届けします。

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長野県王滝村の御嶽山にある新滝へ向かう石段は、コケで覆われていて滑りやすい。浮き石もあり気を抜くと、バランスを崩し転んでしまう。ゆっくりと近づくにつれ、滝つぼを打ち付ける音が大きくなる。うっそうとした林が開けると、滝しぶきが風に乗って降りかかる。石段の山道を登り火照った体に、天然のシャワーが気持ちいい。鳥居の下から見上げる新滝は、澄み切った雪解け水を勢いよく送り続ける。

御嶽山には新滝と清滝があり、どちらも御嶽信仰の修行が行われる神聖な場所だ。昔、御嶽山に登るには滝行などの「百日精進潔斎」と呼ばれる修行をし、身を清めなければいけなかった。今でも信者が訪れ滝行や洞窟にこもる。夏場でも水温は12度前後と冷たい。また冬場は厳しい寒さから氷柱となり、見る者を圧倒する。

滝の水は山を下り、牧尾ダムにたどり着く。そこから木曽川を下り岐阜県と愛知県の濃尾平野、さらに知多半島まで運ばれ、遠く離れた人々の生活を支えている。心地よい滝のしぶきを浴びながら、雪解けしたばかりの水の門出を見送った。【滝沢徹郎】

<撮影データ>4月17日午後0時40分撮影 ニコン「D5」 18-35ミリズーム (焦点距離18ミリ) ISO感度400 シャッタースピード1000分の1 絞り5.6