新型コロナウイルスの感染拡大を受け、外出を避けるために「バリカン」を購入する人が続出し、品薄状態になっている。

需要急増が高まる中、家電量販店のビックカメラでは、昨年比で2・5倍の売り上げを記録しており、SNSでは「メーカー品は全部在庫なし!」などの声が上がった。マスク、ホットケーキミックスなどに続き、フリマアプリでは、バリカンの高額転売が相次いでいる。

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感染リスクが高まる外出を避け、理髪店ではなく自宅で散髪しようと考える人が増えている。電機メーカーのパナソニックの担当者は「代表商品ヘアカッター(カットモード)はオープン価格、9000円前後」だと話す。フリマアプリでは12日までに、同商品が1万6000円で販売され、落札されていた。暑さが増す今後も品薄状態が続けば、ネット上で商品の転売利益を狙う「転売ヤー」の新たなターゲットとなることが考えられる。

家電量販店のビックカメラの担当者は「ビックカメラグループにおける、4月のバリカンの売り上げは昨年同月比で、2・5倍」だと話した。売り上げが急増し始めた時期については「外出自粛の動きが強まった、3月下旬頃から」と話し「外出自粛に伴い、自宅で散髪を済ませる動きが強まったと考えられる」と分析した。

ネットショッピングの活用が増え「4月は店舗より、インターネットからの注文の方が大きく伸びている」と話した。その中でも「主に4000~5000円台の、長さが容易に調整できるモデルが人気です」と話した。SNSでは「人気メーカーは全て入荷未定と言われた」と悲鳴が上がる一方で「ネット通販で無事買えた」という声も上がった。

電機メーカーのパナソニックの担当者は新型コロナウイルスの感染拡大による売上増かは明言を避けた。一方で、「春から夏にかけたこの時期は、ヘアカッター(バリカン)の売り上げが伸びる傾向があるが、例年に比べても、出荷台数は増えており、追加注文の量も増えていることは確か」と明かした。【佐藤勝亮】

○…国内に170店舗を展開する、1000円カット専門店「カットファクトリー」の担当者は「3月末の休業要請が始まった頃から、客足がかなり減少した」とし、バリカンの需要が高まっていることも認識していると話した。4月は例年、書き入れ時だと話すが、今年は外出自粛の影響などを受け、売り上げが大幅に減少した。店舗では「従業員のマスク着用の徹底、はさみなどの消毒、換気、客席の間隔を空ける、新聞雑誌等の提供の中止」などの感染予防対策を実施している。全国で感染者数の減少傾向が続いていることから「7日ごろからやっと、来客数が例年比の7~8割まで回復してきた」と話した。