村川大介十段(29)に芝野虎丸名人(20)が挑戦する、囲碁の第58期十段戦5番勝負第3局が17日、東京・市ケ谷「日本棋院」で行われた。午前10時に始まった対局は午後4時35分、176手で白番(後手)芝野が村川に中押し勝ち。対戦成績を2勝1敗とし、奪取まであと1勝とした。「ずっと苦しいかなと思っていました」と、終局後にホッとした表情を見せた。

このタイトル戦は3月に2局行って1勝1敗の後、新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴う緊急事態宣言のため、中断していた。芝野はいつものように相手の研究はあえてせず、ネット対局などをこなした。

同時進行している本因坊戦7番勝負にも初めて挑戦している。こちらは今月行われた第1、第2局と連敗している。今局でようやく、再開後の初白星をつかんだ。「1回勝てて安心したかな」と、喜びをかみしめた。

昨年10月に史上最年少の19歳11カ月で名人を獲得すると、翌月には王座も奪取。このまま十段も奪えば、初タイトルの獲得から8カ月と、史上最速での3冠となる。「大変な戦いが続くと思いますが、頑張りたい」と気を引き締める。

囲碁界の初タイトルから最速で3冠になったのは、故加藤正夫名誉王座の1年1カ月。1976年(昭51)5月に碁聖を奪うと、十段、本因坊を立て続けに獲得している。それを上回るペースだ。

このまま3冠になるか、村川が2勝2敗に追いつくのか。第4局は26日、同所で行われる。