将棋の最年少プロ、藤井聡太七段(17)が初防衛を目指す木村一基王位(47)に先勝した、第61期王位戦7番勝負第2局が14日、札幌市「ホテルエミシア札幌」で行われた。13日からの2日制で始まった対局はこの日、後手藤井が勝利。2連勝した。明日16日に控えた、渡辺明棋聖(36)との棋聖戦5番勝負第4局(大阪市「関西将棋会館」)での最年少タイトル獲得に弾みを付けた。


◆対局開始

両者、羽織はかまにマスク姿で対局室に入り、着座した。初日の指し手を、初手から再現した後、立会人の深浦康市九段(48)が封じ手を開封。前日、初めて体験した藤井七段の封じ手は後手8六歩だった。第1局は、藤井がエース戦法の角換わり腰掛け銀から終始、主導権を握って押し切っている。今回は先手の木村が、1手でも間違えれば形勢が大きく傾き、まとめ切れなくなる相掛かりに誘導している。持ち時間は各8時間で、初日の消費時間は先手の木村が3時間32分、後手藤井が4時間6分。

◆昼食休憩

盤上では激しいつばぜり合いを演じた両者だが、昼食はそろってビーフ料理。木村が「ビーフシチューセット」、藤井が「ビーフステーキカレーセット」をそれぞれ頼んだ。前日の昼食は木村が「天丼とそばのセット」、藤井は「中華セットランチ」。2日間で、ホテル側が用意した昼食メニュー4品を両対局者がすべて注文した。

◆木村優位も最後は藤井が大逆転

2日目の午後5時の段階で、木村が1時間16分もあったのに対し、藤井は20分。前局の棋聖戦5番勝負第3局の渡辺明棋聖(36)戦で敗れた時と同様に、相手よりも先に時間を使わされるなか、非常手段に出る。後手2四香。必死の防戦から逆転への糸口を探り出した。初日の封じ手場面でも、先輩棋士に「一日の長」を見せつけられた。初めて体験した封じ手。用紙の入った封筒の署名を忘れ、木村に指摘を受けた。立会人の深浦康市九段(48)からは封筒を差し出す向きも指導された。2日制7番勝負初登場の初々しさを見せたのは、この場面だけだった。開幕局、初めての2日制でペース配分という課題も感じた。「初めてで分からないところが、経験できて分かった。うまくペース配分」を話していた。盤に向かえば、ここ一番での集中力を発揮した。木村優位との評判だった最終盤になって、局面をひっくり返した。


第2局2日目:藤井七段対局開始 初めて書いた「封じ手」用紙販売

藤井聡太七段(左)は立会人の深浦康市九段(右)が持つ封じ手の封筒3通を確認する(中央は木村一基王位、日本将棋連盟提供)
藤井聡太七段(左)は立会人の深浦康市九段(右)が持つ封じ手の封筒3通を確認する(中央は木村一基王位、日本将棋連盟提供)
藤井聡太七段(中)は立会人の深浦康市九段(左)が読み上げる封じ手を確認する(右は木村一基王位、日本将棋連盟提供)
藤井聡太七段(中)は立会人の深浦康市九段(左)が読み上げる封じ手を確認する(右は木村一基王位、日本将棋連盟提供)
封じ手となった後手8六歩を指した後の藤井聡太七段(日本将棋連盟提供)
封じ手となった後手8六歩を指した後の藤井聡太七段(日本将棋連盟提供)
先に着座していた藤井聡太七段(右)と後から入室してきた木村一基王位(左、日本将棋連盟提供)
先に着座していた藤井聡太七段(右)と後から入室してきた木村一基王位(左、日本将棋連盟提供)
藤井七段の2日目午前のおやつがアイスコーヒーとミニクリームどら焼き(日本将棋連盟提供)
藤井七段の2日目午前のおやつがアイスコーヒーとミニクリームどら焼き(日本将棋連盟提供)
木村王位の2日目午前のおやつはアイスコーヒー(日本将棋連盟提供)
木村王位の2日目午前のおやつはアイスコーヒー(日本将棋連盟提供)
藤井七段の2日目の昼食はビーフステーキカレーセットランチ(日本将棋連盟提供)
藤井七段の2日目の昼食はビーフステーキカレーセットランチ(日本将棋連盟提供)
2日目の昼食は木村王位がビーフシチューセットランチ(日本将棋連盟提供)
2日目の昼食は木村王位がビーフシチューセットランチ(日本将棋連盟提供)
2日目午後の藤井七段のおやつはオレンジジュース(日本将棋連盟提供)
2日目午後の藤井七段のおやつはオレンジジュース(日本将棋連盟提供)
2日目午後のおやつは木村王位がフルーツ盛り合わせとコーラ(日本将棋連盟提供)
2日目午後のおやつは木村王位がフルーツ盛り合わせとコーラ(日本将棋連盟提供)
第61期王位戦7番勝負の第2局の終局後、感想戦を行う藤井聡太七段(右)と木村一基王位(日本将棋連盟提供)
第61期王位戦7番勝負の第2局の終局後、感想戦を行う藤井聡太七段(右)と木村一基王位(日本将棋連盟提供)
第61期王位戦7番勝負の第2局の勝利後、感想戦を行う藤井聡太七段(日本将棋連盟提供)
第61期王位戦7番勝負の第2局の勝利後、感想戦を行う藤井聡太七段(日本将棋連盟提供)
第61期王位戦7番勝負の第2局に敗れ、感想戦を行う木村一基王位(日本将棋連盟提供)
第61期王位戦7番勝負の第2局に敗れ、感想戦を行う木村一基王位(日本将棋連盟提供)

第2局初日:藤井聡太七段、初の「封じ手」署名忘れ指摘受ける

◆将棋のタイトル戦 タイトル保持者と挑戦者が、5番勝負または7番勝負で優勝を争うプロ公式戦。竜王戦、名人戦、叡王戦、王位戦、王座戦、棋王戦、王将戦、棋聖戦があり、8大タイトル戦と呼ばれる。挑戦者決定方法は各タイトル戦で異なり、1年をかけて行われるリーグ戦やトーナメントで決まる。タイトル戦以外では、NHK杯戦などの一般棋戦がある。

将棋界のタイトル保持者の推移
将棋界のタイトル保持者の推移