茨城県の常磐自動車道で昨年8月に起きたあおり運転殴打事件を巡り、「同乗者の女」とのデマをネット上で広げられ、名誉を傷つけられたとして、東京の会社経営の女性が元愛知県豊田市議原田隆司氏(58)に計110万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は17日、名誉毀損(きそん)を認め、原田氏に33万円の支払いを命じた。

判決後、原告側の代理人弁護士小沢一仁氏が会見を行い、現時点で控訴はしない考えを示した。小沢氏が電話で女性に判決を伝えたところ「30万円という金額が抑止力になるとは思えない」「1年以上もかかるなど、労力や負担も大きい。被害者の負担を減らす制度作りを」などと話していたという。

小沢氏によると、地裁が2月に和解勧告した際、示した解決金が30万円だった。判決で下された賠償金額について「解決金の提示額から、おそらく30万円くらいだろう、ということもあった。相場を上げてほしいが、今の相場感からすると、それほど外れたものではない」との見方を示した。

また、小沢氏によると、女性は投稿アカウント100件以上の発信者情報開示請求を申し立てているとした。一方、先方からの申し入れで、すでに和解が成立したケースもいるという。

訴状によると、原田氏はインスタグラムに掲載された女性の写真を自身のフェイスブックに添付。女性の実名を挙げ、「ガラケー女」などと記載して「早く逮捕されるよう拡散お願いします」と投稿し、女性の名誉を傷つけたとしている。【近藤由美子】