自民党総裁選に出馬表明した3候補が3日、本格始動した。菅義偉官房長官(71)は初の選対会議を都内のホテルで開催。石破茂元幹事長(63)は活動拠点となる選対事務所を都内に開設した。岸田文雄政調会長(63)は政策発表会見を行ったほか、新型コロナウイルスと戦う都内の病院を視察した。岸田氏は会見で、夫婦関係の一端を自ら明かすなど、親しみやすさもアピールした。

   ◇   ◇   ◇

岸田氏は会見で政策をまとめた「岸田ビジョン」を発表。「分断から協調へ」をテーマに、第一に新型コロナウイルスとの戦いを挙げ、感染症対策と経済対策に万全を期すとした。大企業と中小企業の共存共栄モデルの推進などを掲げた「10の約束」も発表した。

総裁選では、菅氏支持に回った他の派閥からの支持が見込めず、苦戦を強いられている。あらためて政策発表の場を設けた趣旨を「多くの国民の皆さんに私の政策についてご理解いただく。社会の理解を深め、国会議員の心に届かせる。そうした流れで選挙戦に影響を与えたい」と説明した。

発信力が弱いと指摘される岸田氏だが、ツイッターが話題になっている。先日「#妻の手料理」などと、食卓を前にした夫人とのツーショット写真を投稿。食卓に座った岸田氏の前に1人分の食事しかなく、妻は立っていたため、「妻と対等な関係ではないのでは」と指摘する声も上がった。

岸田氏は「あの写真だけ見たら、そういったご指摘はなるほどなぁと思います。このことは謙虚に(受け止める)」とした上で「妻としては食事を出して、写真を撮るために立っていましたが、その後は必ず家族は同じ食卓につきます。ご理解いただきたい」と説明。「でも、あの部分だけ見て、対等ではないと思われるのは納得いかないというか…。うーん。そのー。おかしな気がするところもある」。政策はよどみなく説明していたが、思わず戸惑いや正直な気持ちをのぞかせてしまう場面もあった。

さらに「実際、妻に対してそんなに強い立場にあると思ってません」と告白。「平素から風呂洗いをはじめ、必要であれば皿洗いする。家事をちゃんと分担している」と真面目な顔で強調した。固い政策発表の場が、人間味あふれる姿をのぞかせる場にもなった。【近藤由美子】