ドイツ政府は2日、意識不明の重体となり、同国で治療中のロシア反体制派活動家アレクセイ・ナワリヌイ氏に神経剤ノビチョク系の毒物が使用された証拠を確認したと発表した。欧州からの報道によると、ナワリヌシ氏から採取したサンプルをドイツ軍の研究所が分析した結果、確かな証拠を得たという。メルケル首相は「ナワリヌイ氏は犯罪の被害者。誰かが沈黙させようとした。ロシアは答えなければならない」などと非難し、ロシア政府に説明を迫った。

ナワリヌイ氏はプーチン政権を批判する野党勢力の指導者。8月20日にロシア国内の空港で茶を飲み、その後、機内で意識を失った。ベルリンの病院に搬送され、集中治療と検査を受けている。ノビチョクは旧ソ連で開発された神経剤。18年に英国で起きた元ロシアのスパイ襲撃事件でも使われた。

ロシアの大統領報道官は、ドイツ政府への協力を表明したが、これまでロシア側の調査では毒物が使用された証拠は見つかっていないとしている。ロシア政府の関与の有無が焦点として浮上し、ドイツやEUとロシアとの緊張が高まった。