自民党総裁に決まった菅義偉氏は、法大時代は剛柔流空手道部に所属し、副将を務めた。同期で主将だった岡本信寿さん(70)は「菅が部活を休んだことは4年間で1度もなかったはず。真面目で責任感のある男だった」と評する。

体育会系の部活ではないが、サークルとはいえ、当時から本格派で週6日、毎回2時間半以上稽古した。厳しさゆえ、最初15人いた同期部員は、卒業時には半数以下の7人になっていたという。そんな猛稽古に耐え、心身を鍛えた菅氏は、空手未経験での入部ながら着々と実力をつけたという。「4年間を終えた時に2段を取得したのは、同期では私と菅だけだった」と岡本さん。部内有数の腕前を誇った。

上下関係に厳しい時代だったが、当時からリーダーの資質があったようだ。上級生となった菅氏は、下級生を大切にした。「人望があって、後輩からも慕われていた。市ケ谷から千駄ケ谷周辺までランニングで往復する時、遅れていた後輩がいたら、菅は後戻りして声を掛けていた」と岡本さんは懐かしそうに振り返る。強くて優しい副将は、約50年の時をへて首相の大任を担う。【奥岡幹浩】