日本郵便(東京・千代田区)が、日本初となる公道を使用した自動配送ロボットの実証実験を10月上旬にも東京都内で行うことが22日、明らかになった。これまで私有地などで実証実験を重ねてきたが実用化へ最終段階に入った。スマホアプリなどを活用し、自動運転ロボットで各家庭に荷物を宅配や集配業務をキャッシュレスで担うことや、コロナ禍で非接触型の新しい宅配システムとして期待される。

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コロナ禍が加速させる新時代の宅配システム誕生が近づいている。日本郵便は宅配便などの配達、集配を可能にする自動運転ロボットの実証実験を国内で初めて公道上で実施する。実用化されれば、スマホアプリなどを活用し、自動運転ロボットが荷物を自宅まで配達し、自宅まで荷物を受け取りにいくことも可能になる。料金もキャッシュレス決済で新型コロナウイルス対策としても有効な非接触型のデリバリーサービスが到来することになる。

実証実験には実験自動運転ロボットなどを開発するZMPの無人配達ロボット「デリロ」が使用される。これまではイベント広場や大学キャンパス、マンション群などの私有地や商業施設などで実証実験を行ってきた。今回は車が行き交う道路や横断歩道、歩行者や自転車などが通る歩道を含めた公道上を自動運転で走行させ、本格的な実用化へ向けた最終ステージに入る。

デリロは電動式でレーザーセンサーやカメラによって障害物を認識して自動回避や緊急停止し、防犯機能もある。最大時速6キロで通常は歩くスピード程度の時速4キロで動き、重さ50キロまでの荷物が積める。5センチ程度の段差も乗り越えるなど実際の道路環境に対応している。1時間の充電で2~6時間程度の連続運行が可能だ。開発したZMP西村明浩取締役は「実証実験では実用レベルに達している」としている。

自動運転ロボットの実用化で物流は新しい時代を迎える。配送拠点から手元に荷物を届ける「ラストワンマイル配送」が無人化されることで人員コストの大幅減、利便性の向上が期待される。さらにスマホやパソコンを活用してキャッシュレス決済の利用拡大など、デジタル庁を創設し、IT改革を推進する菅新内閣の政策の一翼を担う。管轄省庁の認可を得て、実証実験は10月上旬から10月末までが予定されている。実証実験が成功すれば、荷物を運ぶ自動運転ロボが街を走り回る日も、そう遠くなさそうだ。【大上悟】

◆デリロ 電動式の自動運転ロボット。複数のレーザーセンサーやカメラによって障害物を認識し、自動回避や停止、緊急停止も可能とした。カメラによる遠隔で周囲を監視する機能があるなど防犯対策も施されている。全長96センチ、全幅66センチ、全高109センチ。重さ120キロ。車体前部に表情や声によって周囲の人に存在を認識させるなどのコミュニケーション機能がある。最大時速6キロ。最大積載量50キロ。利用環境によって異なるが、1時間の充電で2~6時間程度の稼働を可能にしている。