羽生善治九段(50)が17日午前10時から東京・千駄ケ谷「将棋会館」で始まった第70期王将戦挑戦者決定リーグ戦、木村一基九段(47)戦で復帰した。事前に先後は決まっており、先手の羽生は先手7六歩と角道を開けたのに対し、後手木村は後手8四歩と飛車先の歩を突いた。

現在、羽生は第33竜王戦7番勝負で豊島将之竜王(30)にも挑戦中。8日に京都市で終えた第3局から帰京した9日の夜、38度9分の発熱があった。10日に診察を受けたものの熱が下がらず、11日から入院。新型コロナウイルスの感染を調べるPCR検査を受けたが陰性で、病名は無菌性髄膜炎だった。14日に退院し、16日には日本将棋連盟より、この日から出場するとの発表があった。

12、13日の2日制で福島市で開催予定だった竜王戦第4局は延期され、第5局(11月26、27日、鹿児島県指宿市「指宿白水館」)を第4局に繰り上げた。

王将リーグでの羽生は現在3勝1敗。渡辺明王将(名人・棋王=36)への挑戦権を目指す。4連敗ですでにリーグ陥落が決まっている木村に対し、負けられない一戦となる。

同日同所では、リーグ4連勝中の豊島と永瀬拓矢王座(28)との直接対決も、永瀬の先手で始まった。勝者が渡辺への挑戦権獲得にグッと近づく。豊島は20日の最終一斉対局で羽生と、永瀬は2勝3敗の広瀬章人八段(33)との対戦が控えている。今後を占う意味でも大きな対局だ。

持ち時間は各4時間。17日夜には決着の見込み。