野口聡一宇宙飛行士(55)が搭乗する初の民間宇宙船「クルードラゴン1号機」が17日午後1時1分、国際宇宙ステーション(ISS)へのドッキングに成功した。有人宇宙船で全自動運転でのドッキングは史上初。午後3時2分にISSのハッチが開放され、10月から滞在する3人の宇宙飛行士と抱き合ったが、ISSの滞在人数が史上最多の7人に。人数分の就寝スペースがない「密な」問題? も浮上した。

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10年ぶりにISS帰還を果たした野口さんは感動をあらわにした。「宇宙船のドッキング成功に立ち会えて、とても幸せです。打ち上げた後も、さまざまな困難な状況に直面しましたが、全集中で乗り切ってきました」。漫画「鬼滅の刃」のセリフを拝借し、満面の笑みで、地球の日本へ向けてメッセージを送った。

ドッキングから約2時間後、ハッチがオープン。10月にソユーズ宇宙船(ロシア)で打ち上げられ、先に長期滞在をスタートしている2人のロシア人男性宇宙飛行士、米国人の女性飛行士の計3人と抱き合った。

感動のハグの一方、「寝床」不足という問題が浮上している。ISSの居住空間は狭く、就寝スペースはカプセルホテルよりもタイトな6人分。すでに滞在中の3人、今回の打ち上げでやって来た野口さんと米国人宇宙飛行士(男性2、女性1)の4人を加えるとISS史上最多の7人。このうち1人は「クルードラゴン1号機」が、ねぐらになる。幸い、今回から採用された初のリクライニング式、読書灯付きの操縦席がある。ベッドの有力候補だ。

来春には、星出彰彦宇宙飛行士(51)ら計4人が「クルードラゴン2号機」に搭乗し、ISSへ打ち上げられる。星出さんらの「クルー2」が加わると、計11人がひしめく。「ISS密問題」の背景は、ソユーズ、クルードラゴンの打ち上げ延期が重なり、過密スケジュールとなったことが大きい。来春、10年4月の野口さん、山崎直子さん以来となる日本人複数同時滞在が実現するが、さらに「密」が広がる可能性もある。

16日に打ち上げられた宇宙船。飛行中に通信系統のマイナートラブルも発生したが、クルーが解決した。野口さんは、ラグビー精神の「ワン・フォー・オール オール・フォー・ワン(1人はみんなのために、みんなは1人のために)」を引用し「オール・フォー・ワン、クルー1(ワン=1号機の搭乗員)フォー・オール(クルー1は、みんなのために)」と熱く宣言した。直面する就寝スペース問題もノーサイドで解決しながら、3度目のミッションに臨む。【大上悟】