将棋の藤井聡太2冠(18)が20日、通算200勝を達成した。第70期王将戦挑戦者決定リーグ戦(東京・千駄ケ谷「将棋会館」)で木村一基九段(47)を下した。これで未放映のテレビ棋戦も含めて200勝40敗とした。勝率8割3分3厘は最高記録。18歳4カ月1日での達成も最年少。デビューから4年1カ月19日での達成は、羽生善治九段(50)の3年11カ月6日に次ぐ。リーグ成績は3勝3敗で、同所で永瀬拓矢王座(28)を下した広瀬章人八段(33)と並んだが、広瀬の順位(序列)が上のため、初のリーグ降級となった。

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藤井は大記録に気付いていなかった。リーグ残留だけを考えていた。木村を下したが、広瀬が永瀬に勝ったため同星ながら、順位の低さに泣いた。昨年挑戦者争いの末に敗れた広瀬に再度、勝負の世界の厳しさを突きつけられた。「しょうがないのかなという気がします」。現実を受け止めるしかなかった。

7月に初タイトルの棋聖、8月に王位を獲得し、3冠目の挑戦を目指した9月の王将リーグは、出だしからつまずいた。初戦から羽生、豊島将之竜王(30)、棋聖戦と王位戦の挑戦者決定戦で連勝した永瀬拓矢王座(28)に3連敗。メンバー7人全員が新旧タイトル獲得経験者という強豪の洗礼を浴び、渡辺明王将(名人・棋王=36)への挑戦権は遠のいた。目標を残留に切り替え、後半3連勝と盛り返した。

2年前の12月、2年2カ月11日の最速で通算100勝(18敗)を達成した。新人ながら29連勝の連勝新記録を含め、予選で勝ち星を量産。朝日杯と新人王戦で優勝した。それから約2年、戦う相手のレベルが上がった。8大タイトル戦の本戦トーナメントや挑戦者決定リーグ入りなど、トップ棋士の仲間入りを果たした。

「200勝の中で最も印象に残っているのは、棋聖戦5番勝負第1局」だと言う。タイトル戦での初勝利で自信もついた。「2冠獲得といい結果も出せた。これからも実力を高め、コンスタントに各棋戦上位に行けるようにしたい」と語った。

200勝は通過点。王将戦は来期2次予選スタートとなるが、降級を糧にさらなる飛躍を目指す。【赤塚辰浩】