菅義偉首相は、臨時国会が事実上閉会した4日夕、約50分間、記者会見を行った。追加の経済対策などについて説明したが、安倍前首相の「桜を見る会」をめぐる問題や、日本学術会議の任命拒否問題などについて問われると、ほぼ従来の答えを繰り返した。任命拒否について反発を予想していたかと問われると「かなり(の反発に)なるんじゃないかなと思っていた」と話した。

コロナ禍については「極めて警戒すべき状況。強い危機感を持って対応している」とし、医療機関に最大限の支援を強調。国民にも飲食店の時間短縮などで理解を求め、支援していくと述べた。さまざまな支援のため、来週には追加の経済対策を決定するとした。具体的には無利子無担保融資などの延長、地方創生臨時交付金を1・5兆円確保、所得が低い1人親世帯への支援などを挙げた。またワクチンを自分も接種するか聞かれると「自分の順番が回ってきたら接種する」と話した。

一方、「2050年カーボンニュートラルはどうしても実現しなければならない目標」と触れ、2兆円の基金を創設して野心的企業を支援する方針を打ち出したほか、水素を新たな電源と位置付けたり、電気自動車導入のための制度を構築するという。デジタル関係では1兆円超を確保。デジタル庁には強い権限を持たせ、民間からも100人規模を受け入れるとした。

携帯電話料金の値下げ問題については「本格的競争に向けて節目を迎えたが、本当の改革はこれから。個人の負担が本当に下がっていくかみて対応する」とした。

菅氏が首相就任後に本格的に記者会見を行うのは、10月の東南アジア歴訪時を除くと、政権発足の9月16日以来2度目。官邸の出入り時には短時間の発表などを行うことはあるが、国民への発信の少なさも指摘されている。その点については「しっかり発信していきたい」と答えていた。