菅内閣発足から3カ月となった16日、菅義偉首相は逆風の中、節目の日を迎えた。連日のように飲食を伴う懇親会などへの出席を続け、14日夜に行った「ステーキ会食」には、批判が殺到。新型コロナウイルスの感染対策として、政府や新型コロナ対策分科会は、5人以上の会食や忘年会の自粛を求めている中でもあり、首相はこの日、反省の弁を余儀なくされた。感染拡大も収まらず、苦しい政権運営が続きそうだ。

   ◇   ◇   ◇

菅首相の「Go Toステーキ会食」への批判が、止まらない。政府の新型コロナ対策分科会は感染リスクを避けるため、5人以内の少人数の会食を提言しているが、菅氏は当日、多人数の会食会、懇親会を「はしご」していた。

政府の観光支援事業「Go Toトラベル」の一時停止を表明した14日夜、東京・紀尾井町のホテルで財界関係者ら約15人が出席した飲食会に参加した。銀座の銀座のステーキ店で行われた自民党の二階俊博幹事長やプロ野球ソフトバンクの王貞治球団会長、俳優の杉良太郎さんら、7人が出席した懇親会に臨んだ。一部出席者からは「忘年会だった」との声も出た。

分科会は11日の会見で、年末年始の忘年会や新年会について「大人数、例えば5人以上の飲食は感染リスクが高まる」と注意喚起を行っている。この日、行われた衆院内閣委員会では、立憲民主党など野党が追及。西村康稔経済再生担当相は、首相の会食を念頭に「一律に5人以上がだめだ、と申し上げているわけではない」「どうしても会食する場合は、アクリル板のある店を選ぶなど感染防止策を徹底してほしい」と、釈明に追われた。

政府は外食産業支援事業の「Go Toイート」でも、全国の知事に対して適用を「原則4人以下」とすることを要請。5人以上の会食や忘年会の自粛も要求しているだけに、批判はまぬがれないのが現実だ。

政府が提唱した「我慢の3週間」はこの日が最終日だったが、新型コロナウイルスの新規感染者数が減少する見通しは立っていない。首相は「我慢の3週間」終了に伴い、官邸で見解を表明した際、ステーキ会食問題についてただされ「(会食で)他の人との距離はあった」とした上で「国民の誤解を招いたなら、真摯(しんし)に反省しています」と述べた。

一連の行動に対は野党だけでなく、政府与党からも苦言が出ている。菅内閣発足3カ月の節目のこの日、首相に笑顔はなかった。