菅義偉首相の長男による総務省幹部への接待疑惑に関して総務省は18日、衆院予算委員会の理事会で週刊文春(電子版)が公表された会食中に録音したとされる音声データの一部を同席した秋本芳徳情報流通行政局長が「自分の声だ」と認めたことを明らかにした。

菅首相の長男は放送関連会社「東北新社」に勤務し、衛星放送を扱う子会社の役員も務めている。放送事業の許認可権を持つ総務省とは利害対象者となりうる可能性があり、国家公務員倫理法に基づき、総務省が調査チームを立ち上げ、精査を行っている最中だった。

秋本氏らは昨年12月に菅首相の長男らから会食代を全額負担され、タクシーチケット、お土産も受け取っていた。秋本氏は事実と認めた上で「後日、返金した」と国会で答弁したが、返金額やタクシー料金など具体的な内容は「調査中」として答弁を一切、拒否している。また一貫して「衛星放送や事業などについての発言した記憶はない」としている。

疑惑を追及する野党は、秋本氏が音声の一部を認める一方で、それ以外は記憶がないとすることに「放送事業に関わる部分だけ記憶がないというのは説明になっていない。組織ぐるみの隠蔽(いんぺい)だ」などと反発し、予算審議に応じない構えを示すなど紛糾し、理事会後に予定された予算委員会、総務委員会は約3時間遅れとなり、それぞれ自公議員のみが、質疑を終えただけで閉会した。

野党側は、きょう19日に総務省からの再回答を要求し、持ち越された両委員会では野党側によって厳しく追及されることは必至で、新たな局面を迎えそうだ。【大上悟】