英王室で、1980年代後半から90年代にかけて続いた「ダイアナ・スキャンダル」をほうふつとさせる泥沼の家族内スキャンダルが、再び展開されている。

主要王族メンバーから離脱した次男ヘンリー王子(36)の妻メーガン妃(39)が、かつて王室で人種差別的な扱いを受けたと、米CBSテレビのインタビューに“暴露”したのが発端。発言したのは誰だと「犯人捜し」が始まり、ヘンリー王子の兄、長男ウィリアム王子(38)が11日、「ロイヤルファミリーは人種差別的な家族なのか」とメディアに直撃され「私たちは人種差別的な家族ではありません」と、反論する事態に発展した。

1997年に交通事故死したダイアナ元妃の忘れ形見で、仲が良かった王子兄弟が、弟の妻の発言をめぐり対立するに至っている。

王室は9日に声明を発表したが、メーガン妃の発言を念頭に「記憶が異なる部分もあるかもしれない」と指摘した。ただ、もともと発信力にたけたメーガン妃の暴露話は、特に出身の米国で同情論や擁護する声が多い。

一方、英国では事情が異なる。王室にダメージを与えるような発言を、放送権料が700万ドル(7億3500万円)支払われたとされるインタビューで口にしたメーガン妃には、批判的な声も多い。英米で世論が二分されかねない状態だ。

英王室をめぐってはかつて、チャールズ皇太子とダイアナ元妃の夫婦関係悪化に伴うダブル不倫など、さまざまなスキャンダルが連日、世界中のメディアで報じられた。英国民の1人は「ダイアナの時の方が衝撃的ではあったが、あの時に似た空気を感じる」と、話す。

ダイアナ元妃は皇太子と離婚後、やまない過熱取材に追われる形で事故死した。スキャンダルがメディアを巻き込む形で別の悲劇を生み、王室に対する国民の尊敬の念も、一時大きく下落した。そこから時間をかけて戻した国民との信頼関係は、メーガン・ショックで再び揺らごうとしている。

2018年5月の結婚時、英王室に新風を呼び込む存在と期待されながら、結局王室になじめなくなったヘンリー王子夫妻。メーガン妃の王室への「逆襲」は今後も起きる可能性があり、王室は再び苦境に立たされている。