2012年選抜高校野球大会に21世紀枠で出場し、選手宣誓も務めた石巻工(宮城)野球部元主将の阿部翔人さん(26)が、教員初任地として宮城県の仙台一高に赴任することが24日、宮城県教育委員会から発表された。部活動の担当なども、今月中に決定する予定だ。

同校は東北有数の進学校。野球部も昨夏の県独自大会4強を果たすだけでなく、3学年連続で東大生を輩出するなど文武両道を貫く。阿部さんは「野球部に携わりたい思いはありますが、野球部だけでなく、生徒たちが自立して勉強も部活動にも打ち込んでいる印象がある。とても伝統のある学校ですし、初任地で行かせていただけることは、僕にとって良い経験になると思っています」と心境を明かした。

日体大卒業後の17年4月、非常勤講師として石巻高に赴任。18年からは野球部のコーチを務めてきた。昨秋の宮城県教員採用試験に5度目の挑戦で、保健体育の教員免許を勝ち取った。

19日に開幕したセンバツでは、開会式で仙台育英(宮城)の島貫丞主将が選手宣誓した姿に胸が熱くなった。「あらためて、震災から10年がたったんだと実感しましたし、宣誓文に僕が使ったフレーズも使ってくれたこともうれしかった。何よりも甲子園が戻ってきたことが良かった。僕にとっても頑張る力になりました」。高校球児らの姿やプレーに、目標である指導者としての甲子園出場の気持ちも強めた。

東日本大震災を乗り越え、現在は新型コロナウイルス感染拡大の苦難を抱える生徒たちに寄り添う。「苦労や困難から逃げずに努力する環境やきっかけを作って、人間形成ができる教員になりたい。何でもいいから頑張っている生徒に対してサポートできる立場でいたい」。4月からは、新たな環境で再発進する。【鎌田直秀】

◆阿部翔人(あべ・しょうと)1994年(平6)8月25日生まれ、宮城・石巻市出身。鹿妻小1年時に鹿妻子鹿クラブで野球を始め、渡波中では石巻中央シニアでプレー。石巻工の監督だった父克彦さん(現宮城水産野球部監督)と同じユニホームを着るために同校進学も、入れ替わりで父は異動。11年秋の宮城県大会準優勝で東北大会出場後、12年センバツ21世紀枠出場。「3番捕手」で神村学園(鹿児島)との甲子園初戦に出場し、4打数3安打1打点も5-9で敗退。卒業後は日体大に進学。171センチ、72キロ。右投げ左打ち。独身。血液型O。