参院長野選挙区補選(25日投開票)は10日、告示から初の週末を迎え、松本市には立憲民主党公認で野党4党の事実上の統一候補となった羽田次郎氏(51)の応援に枝野幸男代表が駆けつけて支持を訴えた。自民党公認(公明推薦)の元衆院議員の小松裕氏(59)、NHK受信料を支払わない方法を教える党の神谷幸太郎氏(44)の新人3人が立候補し、「与野党対決」の構図となっている。

今回の補選は昨年12月に立憲民主党の羽田雄一郎元国交相が新型コロナウイルス感染で急死したことに伴うもので、故羽田氏の実弟である羽田次郎氏が立民公認で共産、国民民主、社民が推薦で出馬した。羽田氏は松本市内で「兄が残した4年あまりの任期。それを実現するために働く者が、受け継いでいかなくてはならない」と訴えた。枝野代表も「県民のみなさんが雄一郎さんに託してきた、期待をしてきたものをしっかりと受け止めて、国会で引き継いでいく役割を果たしてもらいたい」と語った。

前回2019年7月の前回参院選では、当時、国民民主党公認だった故羽田氏が野党統一候補として、今回対決する自民党公認の小松裕氏に14万5000票以上の大差をつけて5選を果たした。地元での強固な支持基盤を軸に「弔い合戦」で勢いに乗る。

野党陣営は、今秋までに行われる次期衆院選へ向けて共闘確立を目指すが、足並みは乱れている。この日、共産党の田村智子参院議員や、社民党の福島瑞穂党首らが駆けつけたが国民民主党議員の姿はなかった。

羽田氏が、共産と結んだ政策協定に国民が反発。推薦を一時撤回し、2日の党大会でも「白紙の状態」(玉木雄一郎代表)とする異例の事態になった。国民は7日に「推薦継続」を決定し、9日には支持母体である連合の神津里季生会長、両党幹部が会談し、一応の「手打ち」となったが、国民は不信感がくすぶる。現時点で玉木代表が長野入りする日程は未定だ。

小松裕氏も松本市内での街頭演説で「医療も、政治も経験させていただいた。命も大事、経済も大事です。両方とも大事。新型コロナとの戦いの先頭に立たせてください」と訴えた。駆けつけた鈴木俊一前総務会長は日刊スポーツの単独取材に応じ、「北海道は不戦敗だが、長野と広島で1勝1敗か、全敗では、かなり違う。選挙区が別と言っても(次期衆院選に)影響ある」と危機感を示した。

その上で「長野に関しては前回よりも、はるかに感触はいい。あれに比べれば空気はいい」と手応えを明らかにした。「まん延防止等重点措置の適用で閣僚は(選挙の)応援に行けなくなったようだが、党役員を中心に」と語った。【大上悟】