全国の書店員が1年間に出た本の中から「いちばん売りたい本」を選ぶ「2021年本屋大賞」が14日、発表され、町田そのこさん(41)の「52ヘルツのクジラたち」(中央公論新社)が大賞を受賞した。

吉川英治文学新人賞を受賞した加藤シゲアキの「オルタネート」(新潮社)は8位だった。芥川賞を受賞した宇佐見りんさんの「推し、燃ゆ」(河出書房新社)は9位。

「52ヘルツ」はクジラには聞こえない音で、作品名には誰にも届かない声を発し続ける孤独という意味が込められている。「52ヘルツのクジラたち」を1位に推した書店員は69人(2位44人、3位47人)。「オルタネート」は1位27人、2位21人、3位31人だった。故氷室冴子さんにあこがれて作家を志した町田さんは「胸を張ってお会いできるのかな。これを持ってお墓参りに行きたいです」と話した。3人の子どもには受賞を知らせておらず「家に帰ったら驚くんじゃないかな」と話していた。