「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家野崎幸助さん(当時77)に覚醒剤を摂取させて殺害したとして、殺人と覚せい剤取締法違反の容疑で元妻、須藤早貴容疑者(25)が逮捕された事件で、和歌山県警は29日、両容疑で須藤容疑者を送検した。

事件が急展開したことで野崎さんが不審死する18日前に急死した愛犬「イブ」(雌、13歳、ミニチュアダックスフント)と須藤容疑者との「接点」にも注目が集まっている。

知人によると、須藤容疑者はイブを散歩させたり、抱っこすることもあったが「本当にかわいがっていたかどうかは分からない」と話した。

「イブ」は18年5月6日に急死。急に具合が悪くなり、大阪の病院に連れていくとき、車の中で暴れて、もがき苦しんで死んだ。溺愛したイブについて野崎さんは生前、「面倒をみてくれる人に遺産を相続してもらいたい」などと語っていた。

事件当時、県警は野崎さん愛犬も覚醒剤を摂取させられた可能性があるとみて、野崎さんの自宅の庭から掘り起こしたイブの死骸を、外部の専門機関で調べたが、臓器などから覚醒剤の成分は検出されなかった。

野崎さんの悲しみは激しく、地元の神社にはイブの供養を依頼。男性宮司に「イブは急に様子がおかしくなった」と説明していた。

野崎さんは地元の神社にはよく、「イブ」を連れ、訪れていたという。須藤容疑者よりも以前に交際していた女性とともに訪れ“結婚報告”をしていた。その際、溺愛していた「イブ」もいたという。

野崎さんが須藤容疑者を連れ、地元の神社に“結婚報告”に来たとき、愛犬の姿はなかった。神社の関係者は「これまで交際していた女性を連れてくるときは、愛犬も一緒でしたが、あのときは車の中から犬の鳴き声が聞こえた」。“遺産相続犬”であったイブが、もがき苦しんだ状況にナゾが残っている。