埼玉県警は25日、埼玉県川口市内の飲食店で女性にわいせつな行為をしたとして、強制わいせつの疑いで、競輪選手の海老根恵太容疑者(43)ら男2人を逮捕した。

「まさか、あのえびちゃんが…」。海老根恵太逮捕のニュースを見た関係者は、おそらく同じ反応だろう。「わいせつ」「逮捕」の言葉と同列で報じられるとは、信じられない。一報を見る限り、逮捕容疑に対する認否がわからない。ただ、被害女性が警察に通報し、逮捕されたという事実には、ショックとともに「なぜだ」という悔しさが込み上げてくる。

掲載された写真は、逮捕の5日前に撮影した。ひげをたくわえたワイルドな姿があまりに珍しく、カメラを向けたほどだ。本人は「今後、これでいくわけじゃないですよ」と、照れていた。そんな男が…。

182センチと恵まれた体格だが、いい意味で威圧感はなかった。朴訥(ぼくとつ)として謙虚。決して口数が多い方ではないが、ぽろっという自虐的な冗談が印象的だった。09年にKEIRINグランプリを制し、競輪界の頂点に立ったがおごるようなこともなく、全国の競輪担当記者が、彼に邪険にされるような経験はなかったはずだ。

中学時代から110メートルハードルで活躍し、日本一にも輝いた。高校から千葉県に進学した縁で千葉籍だが、もともとは埼玉の出身。埼玉に知人を尋ねたとしても不思議ではない。ただ、23日まで参加していた前橋G3はナイター開催だった。決勝の発走時間は午後8時を回る。前橋も、そして埼玉も飲食店は、その時間はすでに休業要請がかかっていたはずだ。状況的にもレース後、その足で向かったのだろうか。

レースは命懸けだ。缶詰にされて過ごすストレスも想像にあまりある。無事レースを終えた解放感から、たがが外れてしまったのか…。ただ、仮にコロナ禍でなくても、そして仮に犯罪にはならなくても、女性を不快にさせるような性的行為があったとしたら、それは許されない。