2019年6月以来となる党首討論が9日に国会で開催され、菅義偉首相と野党4党首の間で激論が交わされた。野党4党は全体で持ち時間45分。トップバッターの立憲民主党の枝野幸男代表は30分間の一対一の勝負に挑んだ。

政府の新型コロナウイルス対応、東京五輪・パラリンピック開催を巡る攻防が続いた。

枝野氏は五輪についても追及。開催が感染拡大が国内で広がることに触れた。

菅首相は「東京大会は、感染対策、水際対策を徹底している。選手など8割以上はワクチン接種して入国する。検査も入国前に2回、期間中も毎日行う。海外メディアも組織委がGPSを使って管理する。5月だけで4回テスト大会をしている。まさに安全安心の大会を行う」と従来の説明を踏襲。その上で、1964年(昭39)に開催された東京五輪について自分の思い出をとうとうと語り始めた。

「57年前、私は高校生でした。いまだに記憶している。東洋の魔女の回転レシーブ。ボールに食らいついたシーン。底知れない人間の能力を感じた」

マラソンのアベベ、オランダの柔道選手が決戦後に見せた行動にも触れて五輪開催に突き進む根拠を自分なりに語った。

「(勝利した)柔道のオランダのヘーシンク選手が、抱きついてくるオランダの役員たちを制して敗者の神永昭夫選手に敬意を払った瞬間を忘れることができなかった。そうしたことを子どもたちに見てほしい」とスポーツの感動シーンを描写して、五輪を開催する意義を語った。

さらには、パラリンピックの開催にも触れ「障がい者スポーツに光があたったのがあの大会。共生社会が実現するための契機となった。今のこどもに勇気を与えたい。バリアフリーを学ぶ大きな機会になる。オリンピックはテレビで40億人が見る。世界が新型コロナという大きな困難に立ち向かい乗り越えることができたということを世界に見ていただきたい」と答えた。

一方で枝野氏は最後に東京五輪・パラリンピック開催についての持論を展開。「命が失われたら取り返しがつかない。失われた命に政治は責任を取れず、そのことへの首相の認識が十分ではない」と追及した。