東京五輪・パラリンピックのパブリックビューイング(PV)や聖火リレーをめぐって、会場となる首都圏でも計画変更の動きが広がり始めた。

東京都調布市が、7月15日に同市内で予定される聖火リレーの出発式を無観客にすることを決めたことが、10日までに分かった。都内での出発式が関係者のみになるのは初めて。

7月15日のリレーの出発地となる調布市の深大寺では、都などが主催する公式セレモニーとして出発式が予定されている。その一般観覧者の募集については市が担当するが、市は新型コロナ感染拡大の状況などを踏まえ、募集を中止した。市内での到着地となる調布駅前広場では市主催の到着イベントも予定していたが、これも中止した。都によると、現時点で7月15日の出発式そのものやリレーなどは計画通り実施予定。

調布市はまた、五輪期間中に調布駅前で予定していたPVなども中止。「集客を図るイベントの開催には、市民の間に強い不安感が広がっている」などと説明した。調布駅前ではパラリンピック期間中に都主催のPVも予定されているが、市は「都に対し、市民感情や市の決定を踏まえ、開催の是非、あるいは実施される場合の規模縮小等について検討するよう要望した」と発表した。

都などが計画するPV関連をめぐっては、都立井の頭恩賜公園内の大規模PVについて、武蔵野市が中止を求める要望書を都に提出。約1週間がたつが、都や小池百合子知事の対応は現時点で不明だ。

都立大の南大沢キャンパスでも五輪期間中にPVが予定されるが、都立大労組がこのほど、中止などを求める声明を発表した。声明は「東京都が大学に対しオンライン活用や課外活動自粛を要請しながら、オリンピック・パラリンピック準備局が不特定多数の観客が集まるPVへの協力を求めることは整合性を欠く」などと訴えている。

千葉県も10日、県内で予定していたPVを取りやめると発表した。熊谷俊人知事は「感動や興奮を共有して盛り上がることや県の魅力を内外に発信することが目的だったが、コロナ禍で達成することはできないだろう」と述べた。PVは千葉市の県立幕張海浜公園で、五輪とパラリンピックで2日間ずつ実施予定だった。千葉県はすでに7月1~3日の聖火リレーについても公道走行の中止を表明。各日とも無観客での点火セレモニーを行う方針だ。埼玉県や茨城県もPV中止を発表している。