将棋の史上最年少タイトルホルダー藤井聡太棋聖(王位=18)が、挑戦者の渡辺明名人(棋王・王将=37)に連勝している、第92期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負第3局は明日3日午前9時から、静岡県沼津市の「沼津御用邸東附属邸第1学問所」で始まる。

前日の2日、両対局者は現地入りし、決戦の場を検分した。沼津は初めてという藤井は、「皇族の別荘という由緒ある場所で対局ができて光栄です」と話した。勝てば18歳11カ月と史上最年少でのタイトル初防衛、九段昇段となるが、「意識せず、盤上に集中して指せれば」と決意を述べた。

連敗でかど番の渡辺は、「十分、間隔が開いたのでここに向けて準備してきた。1つ返していきたい」と話した。

第1局(6月6日、千葉県木更津市「龍宮城スパホテル三日月」)は、相掛かりで序盤から激しく駒がぶつかり合う展開の末、後手の藤井がリードを奪って押し切った。

第2局(6月18日、兵庫県洲本市「ホテルニューアワジ」)も同じ相掛かりながら前例のない形となり、お互いに短期をうかがう展開に。午後6時ごろ、75手を終えて4時間あった持ち時間が残り5分まで削られた藤井が、171手の終局まで最善手を連発して連勝し、タイトル初防衛まであと1勝とした。

現在、王位戦7番勝負との掛け持ちしているが、6月29、30日に名古屋市「名古屋能楽堂」で行われた開幕局は、挑戦者の豊島将之竜王(叡王=31)に完敗した。また、叡王戦では初めて挑戦権を獲得。こちらは豊島と立場を入れ替え、挑戦者として5番勝負を戦う。第1局は7月25日、東京都千代田区「江戸総鎮守 神田明神」で行われる。

後がない渡辺は、今年1月から始まった王将戦7番勝負で永瀬拓矢王座(28)に4勝2敗、2月から始まった棋王戦5番勝負で糸谷哲郎八段(32)に3勝1敗、4月から始まった名人戦7番勝負で斎藤慎太郎八段(28)に4勝1敗と、3冠を堅持した上で挑戦者として名乗りを上げた。前期はタイトル保持者として藤井の挑戦を受けて連敗した後、1勝返している。すんなりストレート負けしたくはないだろう。

先後は事前に決まっており、第3局の先手は渡辺、後手は藤井となる。持ち時間は各4時間。昼食休憩を挟んで、3日夜には決着の見込み。