神奈川1区は、立憲民主党公認の篠原豪氏(46)が当選確実となり、無所属の松本純氏(71)の落選が決まった。無所属のため比例での復活当選はない。同区で7期議席を守ってきたが、野党に明け渡すことになった。

今年1月、緊急事態宣言下で発覚した銀座のクラブ遊びが、最後まで影響した。麻生太郎副総裁の側近だけに、復党を目指したもののかなわず、無所属での出馬に追い込まれた。同じく銀座3兄弟の1人、大阪8区の大塚高司氏は出馬すらできず、この騒動での世間の反応は厳しかった。

誰もが苦しんだコロナ禍での不祥事だけに、松本氏の陣営はピリピリムードで、出陣式では報道陣をシャットアウト。街頭演説でも「コロナ禍でみなさんが我慢を強いられた時に、私の軽率な行動でみなさんにご迷惑をかけ、たくさんのお叱りを受けた。心から申し訳なく、おわびするしかありません」などと、つねにおわびが先行した。

それでも、自民党は対抗馬は立てず、当選すれば追加公認する方針だった。無所属とはいえ、出陣式には河野洋平元衆院議長が、21日には安倍晋三元首相、24日は河野太郎氏、26日には鈴木俊一財務相が同士として応援に入った。麻生氏は23日に加え、最終日の30日夕方にも応援演説を行った。

麻生氏は最初の演説では「安倍晋三が最初に応援に入ったのがこの神奈川1区。それが自民党の総意に近い」。2回目は「麻生派を立ち上げた時は12人からスタートした。その最初から事務総長として支えてくれたのが松本純。私にはパートナーがいないと力を発揮できない。ぜひ一緒にやらせてください」と情にも訴えたが及ばなかった。

松本氏は同区で7期、当選を重ねてきたが、96年の初当選以来、小選挙区では2度、負けている。地元の商店街など昔からの街並みは残るものの、1区特有の風の影響を受けやすい選挙区事情もあり、最後まで銀座遊びのスキャンダルを払拭(ふっしょく)するには至らなかった。【竹村章】